ブリスターとは、射出成形プロセス中に成形品内部にガスが閉じ込められ、表面に泡状の欠陥を形成する現象を指します。これはプラスチック製品の品質を大きく損ない、製品の強度や外観に悪影響を及ぼすことがあります。
ブリスターは射出成形品の任意の位置に発生する可能性がありますが、特に厚みのある部分、冷却が不均一な箇所、または成形圧力が高い部分で発生しやすいです。
ブリスターの発生は成形条件、特に成形温度と圧力と関連があります。温度が高すぎると、樹脂内部のガスが膨張しやすくなり、ブリスターの原因となります。この問題を解決するには、成形温度を適切に管理し、高温によるガスの膨張を抑えることが重要です。また、成形圧力が高すぎると、内部のガスが押し出せず、ブリスターを形成します。圧力管理もブリスター発生の防止には不可欠です。
金型設計の問題もブリスターの一因となります。特にガスが逃げにくい設計では、ガスが閉じ込められ、ブリスターを形成します。この問題を解決するには、金型設計時にガス抜きを考慮することが重要です。ガス抜き穴や通路を適切に設置し、成形時に発生するガスが適切に排出されるようにする必要があります。なお、金型設計の見直しが難しい場合、射出速度を低くしたり、スクリュー部等における樹脂の滞留をさせない等、成形時の条件他での対処も暫定的な対応として有効となります。
原料のロット変更による品質変動もブリスターの原因となります。新しいロットの樹脂が前のロットと同じ挙動を示さない場合、予期しないブリスターが発生する可能性があります。この問題を避けるためには、新しいロットの樹脂について試作と評価をしっかりと行うことが理想的ですが、その発生をしっかりと検知・除去できる体制・環境の整備等を検討することが重要です。
生産初期の段階で、射出成形品を視覚的に確認し、ブリスターの有無を確認します。この早期発見により、問題のある成形条件や金型設計を速やかに修正することが可能になります。
生産中のランダムな時点で、成形品を選び出し、ブリスターの有無を確認します。これにより、生産プロセス全体を通じて品質を一定に保つことができます。
人が作業することによるヒューマンエラーを排除し、より正確で一貫した結果を得るために、画像解析や成形時の生産データを活用したAI検査システムを導入することも有効です。人手に寄らない、定量的・精密な検査を行い、ブリスターの有無を自動的に判別します。
射出成形におけるブリスターの発生は、製品の品質と信頼性に重大な影響を及ぼします。適切な成形条件の設定、金型設計の改善、そして原料の品質管理はブリスターの発生を防ぐ重要なステップです。さらに、定期的な検査と最新の検査技術の導入は、ブリスターを早期に発見し、修正することを可能にします。これらの対策を適切に実施することで、射出成形品の品質と生産効率を最大化していきましょう。