製造業を取り巻く事業環境の変化は大きく、AIなどのテクノロジーがどんどんと人の代替をし始めています。そんな今日だからこそ、「省人化」を実現する技術トレンドを把握することは大切です。少しずつでもどう業務に取り入れていけるのか?のヒントをご紹介いたします。
今日の製造業は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」「半導体不足」「部素材不足」「原材料価格の高騰」「DXの加速」「カーボンニュートラルへの取組み」など、多くの変革を要する時期を迎えています。2022年版ものづくり白書調べ(※1)では、社会情勢の変化のうち、事業に影響のあるものとして、「原材料価格の高騰」「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」「人手不足」「半導体不足」の4項目が約半数に達しています。そのような中、事業者が直近2〜3年で実施した企業行動は「値上げ(原材料高騰による価格転嫁等)」と「賃上げ」の割合が高いです。特に中小企業では「賃上げ」が最も多く、労働人口が減少するなか賃上げによって人材を確保する動きが見られていて、多くの企業で人材の確保が企業の切迫した課題となっています。
参考1:令和3年度ものづくり基盤技術の振興施策 第208回国会(常会)提出資料
上記に挙げたように、業界の人手不足は深刻で、雇用情勢の改善が急務となっていますが、加えて人材育成についての課題もあり、「指導する人材の不足」「人材育成を行う時間の不足」「人材を育成しても辞めてしまう」などの構造的な人材造的な人材リソースの不足が明らかになってってきています。日本社会全体で少子高齢化が進む今日、賃上げをすることで限りある人材を呼び込むには限界があるのです。そこで注目すべきなのがデジタル化や自動化を導入することで可能になる「省人化」です。
製造業における省人化は、工場内のムダや工程を見直し、生産量を維持しながら作業者の人数を減らす取り組みのことを言います。トヨタ生産方式で使われる用語です。省人化を進めることで、雇用情勢が厳しい製造業でも生産ラインを維持することができます。似た用語に、作業者の負担を減らす「省力化」があります。省力化を進めると、作業の効率化で結果的に省人化につながるのです。省人化のメリットは多数あります。例えば「人手不足の解消」「収益向上」「品質向上」が見込め、近年急速に普及してきている働き方改革にも沿った勤務環境を作ることができるなどというメリットが挙げられます。