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射出成形における濡れとは?主な発生要因とそれぞれの対策

射出成形における濡れとは?主な発生要因とそれぞれの対策

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濡れとは

射出成形における濡れとは、成形品に水分が付着している状態です。成形品に付着した水分は、乾くとシミ汚れになります。また、濡れを放っておくと二次加工(印刷、蒸着、メッキなど)時の不良に繋がり、その廃棄金額は高額になります。成形機、金型、作業環境、倉庫保管などに起因し、それぞれに対処方法が異なります。

濡れ発生のメカニズム

濡れの発生メカニズムは、発生原因によって異なります。

まずは、成形品の濡れ事象を詳しく調べることがポイントです。

  • なぜ成形品が濡れているのか?
  • どこから、いつから水分が付着したのか?
  • どんな水分の付着なのか?

下記に、主な濡れ不良の発生メカニズムをまとめていきます。

成形機に起因する濡れのメカニズム

成形機や金型に起因する成形品の濡れは、金型冷却水の水口やホースからの水漏れや、金型の結露が付着することが原因です。

金型は、成形品を放熱する熱交換器の役割をします。

金型の内部に冷却水を循環させるために、水口やホースがたくさん取り付けられています。

この水口やホースは経年劣化や、段り換え時のクレーン操作ミスによる衝突などにより、水漏れが起こします。

特に、金型温調機を使用して80~100℃の温水を循環させる金型は、水口とホースの劣化が速く、水漏れが起こりやすいので注意が必要です。

また、夏場は30℃を超える工場環境の中で、金型冷却機を設定温度15℃~25℃で循環すると、金型が結露します。

これらの水漏れが、成形品に付着することで濡れ不良になります。

作業環境に起因する濡れのメカニズム

検査作業環境に起因する濡れのうち、特に気を付けたいのがスポットクーラーの結露による濡れです。

夏場のスポットクーラーは、ダクト内を冷たい風が通るので、ダクトの外側は結露が発生します。その結露が成形品に滴下することで濡れ不良になります。

保管方法に起因する濡れの原因

保管方法に起因する濡れは、雨や、湿気です。

製造工程から倉庫へ輸送する時や、顧客先に納品する時に、雨が浸水したり、長期保管の際に倉庫の湿気が原因で、成形品に濡れが発生します。

濡れが発生しやすい箇所

濡れが発生しやすい箇所は、限定的ではありません。どの部分にも濡れが発生する可能性があります。

濡れ発生の対策

射出成形加工における濡れの対策は、下記の通りです。

金型、成形機の冷却ホースや水口からの水漏れ対策

金型内を循環する冷却ホースと水口は、経年劣化します。定期的に点検し、必要に応じて交換が必要です。

特に、高温の金型冷却水を循環する金型は、ホースの繋ぎ部と水口のパッキンが硬くなることで、水漏れが起こりやすい箇所です。

立ち上げ前に、金型を閉めた状態で、冷却水を1回路ずつ低圧で通水をし、水漏れがないかを確認しましょう。

金型を閉めた状態かつ、低圧で通水することで、漏れた時の水濡れ被害が最小限に抑えられます。

また、ホースの取り回しが悪いと、ホースの一部分がこすれて穴が開いたり、引っ張られたホースが抜けて、冷却水が噴き出すことがあります。

稼働前に、ホースが干渉していないか、十分に確認が必要です。

金型の結露対策

夏場は、工場内の温度と金型の温度差によって、金型の表面が結露します。

金型の結露対策は、3種類です。

1つ目は、保温シートや断熱材を使って、金型表面を保護する方法です。金型の開閉動作や取出し動作に干渉しないように注意が必要です。

2つ目は、成形機の型締めユニットを空調管理する方法です。型締めユニットを箱型に囲い、スポットクーラーを使用して温度差を軽減します。取出し動作に干渉しないように注意が必要です。

3つ目は、金型を循環する冷却水の温度を上げて、工場内との温度差を軽減する方法です。結露が少なくなる効果がある反面、金型の冷却能力が下がるため、冷却時間が伸び、1サイクルが長くなったり、成形品の寸法が小さくなるなど、別の不良に繋がります。

条件を変更した後、成形品が規格内に収まっているか品質確認が必要です。

スポットクーラーの結露対策

夏場スポットクーラーを使用する際、通風ダクト外周の結露が滴下し、成形品に付着することがあります。

通風ダクトを断熱材で保護したり、成形品から遠ざけるなどの対策が有効です。

輸送時の雨、倉庫の湿気対策

輸送時の突然の雨で成形品が濡れてしまうことがあります。

パレットで移動する際は、全体を覆うビニル製のパレットカバーで養生したり、屋根のない所に放置しないように注意が必要です。

また、倉庫内に長期保管している成形品は、湿気で表面が濡れてしまうことがあります。

特に、二次加工のある製品は、倉庫の湿気を吸わないように、風通しの良い場所に保管しましょう。

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濡れを流出しない為に

発生した濡れ不良を、次工程、顧客先に流出しないために、発生した時点で発見・対処する仕組み作りが大切です。下記が流出対策の一例です。

初期検査

立ち上げ品と良品サンプルをよく見比べて、検査することが重要です。

濡れ事象は、原因の処置をしないと収まりません。

初期検査で見逃すと、その後ずっと不良品を生産し続けてしまいます。

抜き取り検査

濡れ不良は、突発で起こることがあります。

定期の抜き取り検査は、不良発生時に範囲の特定時間短縮にとても重要です。

不良の発生率にあわせて、抜き取り検査の頻度を決めましょう。

出荷前検査

倉庫内に長期保管された成形品は、出荷前に開封し、再検査をすることで流出を防止できます。

半年以上在庫保管された成形品は、出荷検査を必要とするなどの、ルールを決めて運用すると良いでしょう。

まとめ

濡れについて、不良発生要因及び原因、不良対策についてまとめました。

発生した濡れの要因が何かをしっかりと見極めて、1つづつ対策していくことが重要です。

汚れ不良を見逃すことなく、高い成形加工技術の確立を目指しましょう。