切削加工で避けて通ることのできない、自動車のEV(電気自動車)シフトの波。そのEV普及に立ちはだかる大きな壁のひとつに、“航続距離”があります。充電インフラが整い、低価格のEVが入手できるようになっても、実質300〜500km程度の走行距離(一般的なモデル)では、普及が難しいのが現状です。そのため開発の現場では、モータやバッテリーの性能向上に加え、航続可能距離を解決する「電費(燃費)向上」が大きな開発テーマとなっています。
EVにおける電費向上を実現するには、車体デザインの見直しからバッテリーの性能向上、モータの技術開発、足回りの改良まで、さまざまなアプローチがあります。その中でも一番効率的な手法が、「車体の軽量化」です。EVに搭載されるバッテリーは、ガソリン車のエンジンよりも重く、同じ車格の場合、ガソリンの重量を加味してもEVの方が重量が上がります。そのため、僅かな軽量化であっても電費向上の効果が得られやすく、CO2の排出削減にもつながります。バッテリー本体の大幅な軽量化には、技術的なブレークスルーが必要といわれており、最近では衝突安全や自動運転などの装備の追加で、車体重量が増加傾向にあるなか、バッテリー以外のボディや足周り部品を、いかに軽い材料に置き換えるかがポイントになっています。