PE樹脂は密度によって大きく2つに分けられ、高密度のPEをHDPEと呼び、低密度のPEをLDPE樹脂と呼びます。
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LDPEは、low-density polyethyleneの略で、ローデンポリエチと呼ぶこともあります。密度は0.910以上~0.930未満と定義され、柔らかさは、全樹脂中でトップクラスです。耐衝撃性や電気特性に優れ、耐薬品性、機械特性も良いことから、様々な分野で使用されます。
一般的なLDPE樹脂の特性は、以下のようなものがあります。。
射出成形加工で使用されるLDPE樹脂は下記の通りです。
以下のように食品用品や雑貨製品、建築材料まで、多岐に使用されています。
LDPE樹脂は、私たちの身の周りの様々な場所で使われています。臭気が低く無毒性なので、食品容器や梱包資材としてスーパーやコンビニでは欠かせない
樹脂です。また耐衝撃性、電気的性質に優れ、耐薬品性の良さから、医療機器や研究機関等でも使用されています。
LDPE樹脂の加工ポイントは大きく分けて2つあります。
LDPE樹脂は、粘りが強い特徴があります。LDPE樹脂を直接、射出ユニット台にパージしてしまうと、樹脂が射出台にくっついてしまいます。真鍮棒でダンゴを剥がそうとしても、中々剝がれません。樹脂替え(パージ)を行う時は作業時短の為に、下記の方法が有効です。
ノズル部の下に厚紙又は新聞紙を敷くことにより、射出ユニット台にくっつくことを防ぎ、
作業を時短することができます。
※注意点
ダンゴが紙に付いた状態だと、リサイクルが出来なくなりますので産廃として処分します。
持ち手がついているフライパンは、LDPE樹脂の樹脂替え(パージ)に非常に役立ちます。ノズル部の下にフライパンを設置することにより、射出ユニット台に、樹脂が付くことなく
楽にパージ作業を行えます。100tonクラスのシリンダーであれば、握りこぶし程度の大きさがベストです。
ダンゴの固化が早まります。中大型成形機の場合は、パージ量が多くなりますので、ステンレス製の大型バットを使用するのがおすすめです。
チラーは、冷凍機で冷やした水を、金型に供給する装置です。金型水管の詰まりによる成形品の寸法異常や、成形停止時の金型結露が起こります。チラー使用時のトラブルを未然に防ぐには、下記のポイントが重要になります。
金型の水管が詰まっている時は、水管の詰まりを除去しましょう。
金型の結露は錆に直結しますので、必ず水滴を残さないようにしましょう。
LDPE樹脂の特性に合わせた成形条件出しが必要になります。よく発生する不良のポイントは以下の通りです。
ソリとは、取り出し後に成形品が収縮して、変形してしまう事象です。成形品の肉厚や、冷却効率の違いによる、収縮の不均等が原因です。成形条件で直すのがベストですが、箱型状の場合は2次的に直します。
ソリの対策方法は、下記の通りです。
ヒケとは、成形品の収縮により、表面が凹んでしまう事象です。充填量が足りていない時や、冷却時に発生する大きな収縮力が原因です。LDPE樹脂は収縮率が大きい為、主にリブや肉厚部、最終充填部に発生します。ヒケの対策方法は、下記の通りです。
保圧時間を長くすることで、収縮して凹んでしまう箇所に樹脂を送りこむことが出来ます。注意点としては、一気に時間を長くしてしまうと、バリやオーバーパックの原因になりますので
1secぐらいずつ時間を伸ばし、成形品の状態を見ながら調整していきます。また、ゲートシール時間以上の保圧時間は効果がありません。
ピンゲートやサブマリンゲートは、ゲートの固化が速いため、ゲートシール時間を見極めながら設定することが重要です。
金型温度を下げることで、スキン層を速く固化させます。スキン層に厚みができ、強度を増すことにより、収縮の引っ張りを抑えることが出来ます。
白化とは、エジェクターピン部や、成形品の離型が悪いところにおいて、無理やり離型されることで白くなる外観不良です。サイクルタイムを考慮すると、速く離型をさせたいですが、速すぎると成形品に負荷がかかり、白化の原因になります。成形品が完全に固化されていない状態で、突き出し動作をするとバランスが崩れてしまい白化の原因となります。
白化の対策方法は、下記の通りです。
エジェクター動作を、低圧低速にすることで、エジェクター動作による成形品への離型負荷を下げられます。
冷却時間を長くすることで、成形品が完全に固化し強度が増すので、白化を防ぐことが出来ます。
LDPE樹脂は安価で柔軟性や耐衝撃性に優れてLDPE樹脂の取扱い方法や成形加工時のポイント、よく発生する不良について説明しました。いることから、食用用品から雑貨製品まで私たちの身の回りで幅広く使用されています。材料替え(パージ)やチラー冷却の取扱い方法には、特に注意が必要です。上記例のような要素を考慮し、より生産性の高い成形加工を目指しましょう。