みなさんは「スモールスタート」という言葉をご存知でしょうか。IoT導入の不安要素としてよく挙げられるのが、「かかったコストの割に効果が得られず、現場が混乱しただけだった。」という事態です。そんな事態を未然に防ぐために心懸けるべきなのが、小さくはじめて大きく育てる「スモールスタート」です。「スモールスタート」とはその名のとおり、小さな範囲からIoT導入をはじめることを指します。スモールスタートでは、一台の装置から、まずは見える化だけ、とりあえず事務所内だけ試験導入的にデータ取得とその活用をはじめます。「歩留まり率〇〇%向上!」「基幹システムと組み合わせてデータ経営に活かす」などIoT導入によって実現したい目標はさまざまでしょう。そのような場合でも、まずはスモールスタートによってPoC(概念実証)を兼ねた小さなIoT導入を行い、成功体験を積み重ねて、大きな目標達成につなげるのが「工場DX」の王道です。
上図の色付き部分のような各工程に紐づく小さな課題にフォーカスして小さく導入/検証してみるのもスモールスタートの一例です。いきなり工場すべてのIoT化を目指してしまうと、どうしてもコストが大きくなってしまいがちです。大きな成果を確実に上げるために、あえて小さく始めてリスクを小さくすることは多少遠回りに思えますが、十分検討するに値するでしょう。
スモールスタートが重要な理由をより詳しくみていきましょう。筆頭として挙げられるのが「リスクを最小限に押さえられる」ということです。小さな範囲から始めれば当然必要なコスト、工場全体への影響、データ取得の手間・複雑性は小さくなります。スピード感をもって最初の一歩を踏み出すことで、失敗のリスクを最小限にしつつ結果的には最速で目標に到達できる可能性を高められます。