本記事では、難削材とされる「インコネル」について紹介します。インコネルとは、高温・高圧下で使用される合金素材の一種で、非常に硬く切削が困難な素材です。しかし、その硬さや高温・高圧下での耐久性から、航空機や原子力発電所、化学工場などで幅広く使用されています。また、インコネルには様々な種類があり、その特性や用途も異なります。切削業界の方々が日々直面する切削不良の情報収集において、本記事がお役に立てば幸いです。
先述の通り、インコネルには様々な種類があり、その特性や用途も異なります。種類別の特徴や機械的な性質については下記表が参考になります。
インコネルは、非常に硬く耐熱性が高い合金であり、加工時には注意が必要です。インコネル600の場合、柔らかすぎる工具を使用すると、表面が剥がれたり、摩耗したりすることがあります。また、過剰な切削量で切断すると表面に傷がつく可能性があります。インコネル718の場合、切削力が大きいため、工具の刃先が欠けたり、切削が進まなくなることがあります。加工前には、工具の交換や調整が必要です。インコネル825は、高温環境下で使用されることが多く、加工時には冷却が必要です。また、切削速度が遅すぎると表面の欠陥が生じることがあります。インコネルX-750は、硬度が高く、切削力が大きいため、適切な工具を使用し、加工量を調整する必要があります。加工時には、継続的な冷却と刃先の定期的な交換が必要です。
インコネルは、非常に耐久性が高く、高温・高圧下での使用に適した合金です。しかし、その耐久性ゆえに加工が困難であり、加工時には注意が必要です。インコネルを加工する場合、高硬度の刃物を使用し、速度を遅く、切り込みを浅くする必要があります。また、十分な冷却が必要であり、切削油を使用することを推奨します。インコネルの種類によっても加工方法が異なるため、適切な加工条件を把握することが重要です。インコネルは高い性能を発揮する素材であるため、加工時には十分な知識と技術を持った技術者が対応することが必要です。