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EVA樹脂物性と特徴、メリットデメリットを解説

EVA樹脂物性と特徴、メリットデメリットを解説

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EVA樹脂とは

EVA樹脂とは、エチレン・酢酸ビニル共重合体です。軽量で柔軟性、弾力性に優れていることから、主に各種緩衝材として使用されます。そのクッション性は、ゴム系樹脂の中でも高性能です。その他の特徴として、電気絶縁性や強い耐薬品性が挙げられ、住宅製品・日用品に多く使用されます。

一般的なEVA樹脂の特性は、下記の通りです。

・軽量である

・柔軟性がある

・弾力性に優れている

・電気絶縁性が高い

・耐薬品性に優れる

・寸法安定性が高い

性質 / 特性

性質/ 特徴 備考
分子構造 エチレン・酢酸ビニル共重合体
収縮率 小さい 0.7〜1.2%
透明 0.6%
※ガラス強化0.2〜0.6%
ガラス転移温度 低い -42℃
耐衝撃性 強い
耐熱性 70〜90℃
耐候性 極めて良好
電気的性質 優れた電気絶縁性を持つ
耐薬品性 強酸には弱い
寸法安定性 成形しやすい
機械特性 強い
成形品の外観 良い

代表的な用途

射出成形加工によって生産される、EVA樹脂を用いた製品の代表例は下記のものがあります。私たちの日常生活でよく使用されるものから、工業製品に至るまで、多岐に渡ります。

  • 住宅関係:各種緩衝材、フロアーマット、防護材
  • 日用品:スリッパ、インソール、キッチン用品、PCグッズ
  • スポーツ用品:健康マット、体操用マット、ヨガマット

EVA樹脂の特徴を活かした用途

EVA樹脂は、軽量で、軟性、弾力性、寸法安定性の良さから幅広く使用されていますが、各種緩衝材として使用されるケースが多くあります。住宅関係、日用品において、特にクッション性が求められる製品に使用される等、EVA樹脂は、各種緩衝材の原料として無くてはならない樹脂といえます。

EVA樹脂の成形加工時におけるポイント

EVA樹脂には、高温や熱の影響を受けやすい特徴があります。そのため成形加工の際には、加熱筒設定と金型温度設定がポイントになります。

加熱筒設定で考慮すべきこと

加熱筒温度は、一般的に120〜 230℃に設定します。

低い温度で成形すると、充填された樹脂は途中で固化が始まり、最終充填部まで行き届かず、成形品はショートします。また、高い温度で成形すると、樹脂からガスが出ますので注意が必要です。加熱筒温度は、ランナー、ゲート、成形品の形状を考慮した上で、設定することがポイントです。

金型温度設定で考慮すべきこと

成形品の形状によりますが金型温度は20℃〜60℃に設定します。80℃以上に温度設定すると流動が良くなり過ぎてしまい、バリ不良につながる可能性があるので注意が必要です。

成形不良発生時における対策

先述したEVA樹脂の特性に合わせた成形条件出しが必要になります。よく発生する不良のポイントは以下の通りです。

ショートの原因と対策

ショートとは、成形品に樹脂が十分に充填されず、欠けた部分が発生する事象です。最終充填部、ガス逃げの悪い部分、細いリブ部などに発生します。

下記の3つの方法で改善が見込めます。

射出速度を上げる

射出速度を上げることにより、キャビティー内の流動性が上がります。また複雑な形状の場合は、多段制御を使用することにより改善します。流動末端や、ゲートから遠い部分に、ショートが発生する場合に有効です。

金型温度を上げる

金型温度を上げることにより、樹脂の固化速度を遅らせることで改善します。薄肉で平たい面に、ショートが発生する場合に有効です。

樹脂温度を上げる

樹脂温度を上げることにより、樹脂粘度が下がり、スプルーから最終充填部まで樹脂が流れやすくなり改善します。射出速度・金型温度調整してもショートが直らない場合に有効です。

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ヤケの原因と対策

ヤケとは、溶融樹脂がキャビティー内に充填される時に、キャビティー内に残存している空気が圧縮し発熱します。その熱で樹脂が燃焼し、成形品に黒く転写して模様ができる事象です。最終充填部や、ガス抜けの悪い部分に発生します。

下記の3つの方法で改善が見込めます。

ガスベンドの定期メンテナンスを行う

ガスベンドは、累積ショットが多くなると樹脂から発生するガスが蓄積していきます。日常点検、定期点検(金型オーバーホール)にて、ヤケ不良が発生する前に、メンテナンスすることで改善します。ガスベントの定期メンテナンスをしていない場合、まずガスベントメンテナンスが有効です。

射出速度を下げる

射出速度を下げることにより、キャビティー内の流動性が下がります。また複雑な形状の場合は、多段制御を使用することにより改善します。流動末端、ガス抜けの悪い箇所に発生するヤケに有効です。

樹脂温度を下げる

樹脂温度を下げ、樹脂粘度を上げて流れにくくすることで、ガスが抜けるまでの余裕がもてるようになり、ガス抜けをコントロールできることで改善します。射出速度を変更しても改善されない場合に有効です。

ウエルドラインの原因と対策

ウエルドラインとは、金型キャビティー内で溶融樹脂の合流部分が線状の跡となる事象です。固化速度が比較的早いEVA樹脂は、ウ エルドラインが強く発生することがあります。

下記の3つの方法で改善します。

射出速度を上げる

射出速度を上げる事により、キャビティー内の流動性が上がります。また複雑な形状の場合は、多段制御を使用する事により改善します。二手に別れた樹脂が、再び合流するまでの時間が長い時に有効です。

射出速度を下げる

射出速度を下げることで、ウエルドラインが薄くなることがあります。二手に別れた樹脂が、ガスを巻き込んでいる場合は、射出速度を下げることでガス抜けが改善し、ウエルドラインに有効です。

樹脂温度を上げる

樹脂温度を上げる事により、樹脂粘度が下がりスプルーから最終充填部まで樹脂が流れやすくなり改善します。射出速度で改善が見られない時に、有効です。

まとめ

EVA樹脂は、柔軟性、弾力性が優れていることから、各種緩衝材の原料として幅広く使用されています。EVA樹脂の取扱い方法や加熱筒、金型の設定、よく発生する不良について説明しました。成形品の形状に応じて、加熱筒温度や、金型温度の設定をします。上記例のような要素を考慮し、より生産性の高い成形加工を目指しましょう。