色ムラとは、主材である無色のペレットと、色を付けるマスターバッチ、リターンされる粉砕材が上手く混ざらないことで発生する外観不良の1つです。表面の色が均一ではなく、筋状、マーブル模様が現れます。濃い色では目立ちにくく、薄い色では目立つという特徴があります。
色ムラは、ショット毎に発生箇所が異なります。成形品の箇所を選ばず、ランダムに発生します。また連続成形中に、急に色ムラが発生することがあります。
射出成形における色ムラの発生要因は、大きく分けて、前段取り工程と成形条件の2つに関連するものが挙げられます。
前段取り工程が要因で、色ムラになる要因は下記の3つが挙げられます。それぞれに関する対策は以下です。
混合機(タンブラー)とは、主材とマスターバッチをドラムタンクに投入し、機械的に回転 させて混合する装置です。原料を混合するために使用します。混合機(タンブラー)の種類には、内部の羽根が回転するタイプと、ドラムタンク自体が回転するタイプがあります。
混合時間は、材料の種類、比重、グレード、混合量、マスターバッチの倍率などにより変化します。混合時間が足りない場合、十分に混合しないことから色ムラの原因となります。 混合時間を十分に設定し、投入前に、しっかりと混合されているか目視で確認しましょう。
材料は静電気で壁面に張り付いてしまうことがあり、混合の偏りが色ムラの原因になります。どうしても張り付く場合は、エアーガンで強制的に拡散させます。
一定割合の粉砕材を混合して成形品を製造する時、粉砕材リターンの熱劣化が原因で色ムラが発生することがあります。 成形された成形品とランナーの内、ランナーは粉砕されリターンされます。 このリターンを繰り返した粉砕材は、熱劣化(性能低下)し、色ムラになります。 特にランナー比率が高い金型は、粉砕した全てをリターンせず、配合比の調整を行いましょう。
混合材の輸送方法ごとに、色ムラ発生リスクが異なります。
予めタンブラーで混合した材料を、成形機上のホッパーに吸引するには、単動式のローダーを使用します。主材、粉砕材、MBの比重差により、分離しながらホッパーに材料が吸い上がります。しっかりタンブラーで配合された原料でも、この分離により配合比が変化することがあります。1回の吸引時間を短くして、分離による混合比の変化を最少にすることで改善します。
輸送機使用による配合材分離を予防するには、計量タイプの配合機導入が効果的です。 計量タイプの配合機は、主材、粉砕材、MBを設定した割合通りに計量し、混合する装置です。成形機上に設置することで、均一に混合された材料を供給できます。
成形条件が要因で、色ムラになる要因は下記の2つが挙げられます。それぞれの注意点は以下の通りです。
加熱筒の圧縮部温度は上げ過ぎている加熱筒は3つのゾーンから成り立っています。ホッパー側からノズルに向けて供給部、圧縮部、計量部で構成されます。
特に色ムラの対策においては、圧縮部の加熱筒設定が重要です。加熱筒温度設定は樹脂により様々ですが、過度な温度設定をしないように、一般的にホッパー側からノズルに向けて、5℃から10℃刻みで上げていきます。 推奨温度より上げすぎると、ヤケやシルバーなど別の不良原因になりますので注意が必要です。
背圧を上げて混練が改善されるケースがあります。背圧設定は色ムラに大きく影響します。背圧が低いと、樹脂密度が低くなることから、混錬の状態が悪くなり色ムラが出やすくなります。背圧を上げることにより、樹脂密度が高くなり混錬状態は良くなります。
注意点としては、背圧が高いと、計量完了値までの計量時間が増えます。冷却時間内に計量完了するように、背圧とスクリュー回転速度の設定を行うことがポイントとなります。
また、前段取り工程、成形条件に関する工夫の他に、機械的に色ムラを改善させる方法として、ミキシングスクリューやミキシングノズルの導入も有効です。それぞれの特徴は以下の通りです。
通常のスクリューより混練に優れており、色ムラが出にくい。
加熱筒温度を必要以上、上げなくても混錬できる。
成形品に応じてノズルのみを交換できる。
価格を安く抑えられる。
注意点としては、ミキシングにすることにより色が抜けにくくなるので、色替え作業に時間がかかります。色モノは、ミキシングを使用し、ナチュラル材は、オープンノズルに交換することで、色替えトラブルを予防できます。
色ムラについて、不良発生要因及び原因、不良対策についてまとめてみました。色ムラは、前段取り工程、成形条件の双方に要因を考えうる事象です。それぞれの要因を1つ1つ試すことで、改善が期待できます。色ムラを見逃すことなく、高い成形加工技術の確立をめざしましょう。