切削加工によって製品を量産する現場では、切削中に工具が折損し、折損したことに気づかずに加工を続けてしまい、加工が正しく行われなかった不良品が連続的に生産されてしまうという課題があります。工具の状態をモニタリングし、折損したことをリアルタイムで検知することができれば、不良品の生産を最小限に抑えることができます。
株式会社MAZINでは、生産工程単位で存在する生産課題を解決するAIの開発を行っています。切削加工の分野では、工作機械に電流センサをクランプし、切削トルクと相関関係にある電流値に基づいて工具状態のモニタリングをするアルゴリズムの開発を目的に各種実験・分析に取り組んでいます。
単に電流値の大きさに基づいて異常検知を行うと誤検出が増えてしまうため、同じ製品を繰り返しのサイクルで加工する量産加工においては、現在の加工サイクルにおける電流値と、以前の加工サイクルにおける電流値を比較する手法を採用することでより高精度な異常検知が可能となります。
今回は、現在の加工サイクルにおける電流値と以前の加工サイクルにおける電流値を比較するにあたって、重要な要素技術であるサイクル検知技術をご紹介します。
加工の1サイクルはNC制御装置と連携することで抽出することができます。しかし、後付けの場合、NC制御装置と連携することができなかったり、連携に費用がかかったりすることがあります。
株式会社MAZINでは、NC制御装置と連携しなくても時系列データから加工の1サイクルを抽出することが可能なサイクル検知アルゴリズムを開発しました。
加工の工程情報を登録する非常に簡単なステップを踏むだけで自動的にサイクルが探索されるため、工作機械に工事を施す必要がありません。
サイクル検知技術の開発が進んだことにより、工具異常検知システムを導入可能な工作機械の種類を増やすことができます。
今後はサイクル検知技術を改善し、より多くの工作機械種類に対応できるよう開発を続けて参ります。
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