IoT導入をスローガンとして掲げたものの、実際の取り組みはIoT導入の本来の目的から逸れてしまっているように感じることはありませんか？もしかすると、IoTでそもそも何が出来るのかあまり理解できていないというのが原因の一つかもしれません。他社事例を適切に理解し、自社の課題と重ね合わせることでやっと、スマートファクトリー化の成功に不可欠な「施策の目的」が見えてきます。ここでは、IoTセンシングの事例を課題別に「工場設備の予防保全」「設備の運転状況や生産状況の可視化」「現場の生産性の向上」「働き方改革」の4つのケースで紹介します。
具体的な事例をお伝えする前にIoTとIoTセンシングについておさらいしておきましょう。IoTは、Internet Of Things（モノのインターネット）の略で、インターネットを使って、設備や機器を接続し、データを収集し、分析し、活用することを指します。その中で、IoTセンシングは、特にデータ収集に焦点を当てた部分で、センサーを使用して、現実世界からの情報を収集することを指します。これにより、予知保全や生産性の向上、働き方改革などが可能になります。製造現場へIoTを導入することで、これまで取得されなかったデータを収集し分析することができ、それを活用することで、経営者や生産技術にとっての新たな可能性が広がります。
IoTにより取得したデータをAIなどで解析することで設備の不具合を未然に防ぐ予知保全が高い精度で行えるようになります。例えば産業用オートメーションと情報ソリューションを専門とする世界最大の企業として知られるアメリカのロックウェル・オートメーション社は自社開発のIoTソリューションを導入し、遠隔地の設備機器からもリアルタイムにデータを取得し、予知保全を行えるシステムを確立しました。同システムにより例えば遠隔地の水ポンプの振動と温度をセンシングし、適切なタイミングで停止させることで機械寿命を延ばすことが可能になっています。データを計測することで適切な保守の手段を分析し、常時監視によりベストなタイミングで対処するという好循環がIoTにより実現されます。
参考:1:Rockwell Automation, Inc「ロックウェル･オートメーションのソリューションはアクシオナ･アグア社の予知保全ストラテジを支援」/2:経済産業省 中部経済産業局「スマートファクトリーロードマップ」
